カクモンキシタバ Chrysorithrum amatum (Bremer & Grey, 1853)

2016年5月2日

GWの遠征に向かっている途中

八ヶ岳SAに休憩に入ると

カクモンキシタバ!!

カクモンキシタバ♀

未採集だったので意気揚々と採集

三角紙に収めた

翌日,三角紙を覗いてみると

「卵生んでいる!!!」

幼虫のホストはハギ

これなら飼育できそうだぞ?

ということで,急遽夜中に近所のハギを取りに行く生活が始まった

若齢幼虫(2016/05/19)

若齢幼虫(2016/05/19)

若齢幼虫(2016/05/22)

終齢幼虫(2016/05/26)

若齢幼虫は緑色をしているが,成長するにつれて次第に茶色になっていく

飼育は比較的カンタンで,すくすく成長していった

前蛹(2016/06/02)

蛹(2016/06/02)

羽化成虫(2016/06/24)

羽化したカクモンキシタバ

前蛹になりたてはエメラルドグリーン

次第に色は黒くなり,3週間程度で羽化

キシタバと名前に入っていて後翅の帯が特徴的だが,Catocala属ではない

カクモンキシタバ♀の季節型の比較

両方共♀だが,春採集の個体は黄色い帯が太い

カクモンキシタバは年2化だが,季節型はあるのだろうか?

今後,複数の春と夏の個体を比較したい

雌雄の比較(表, 右上の1個体が春採集,他飼育)

雌雄の比較(裏, 右上の1個体が春採集,他飼育)

今度は雌雄の比較をした

♀のほうが♂より後翅表の黄色い帯が広い傾向がある

裏面に関しても,♀のほうが♂より黄色い面積が広い

雌雄の見分け方

雌雄は腹部末端の毛で判別できて,筆状にフサフサしているのが♂,すぼまっているのが♀

同じシタバガ亜科のCatocala属と同様の見分け方ができる

脚部の写真

複眼には毛がなく,下唇鬚が発達するのがシタバガ亜科の特徴である

前脚は色の濃い毛で覆われており,先端は細かいトゲで覆われている

前脚には濃い黄土色と黄色で弱いシマ模様ができている

ここは,Catocalaでも白と黒のはっきりしたシマ模様になる部分だ

しかし,胸にはCatocalaほど毛が生えていない

翅棘

翅棘は雌雄ともに一本ずつあった

♂のほうが翅棘は太く目立つ

 

今回,採集個体とその子孫で標本の比較を行った

本当は遺伝の問題があるため更に複数の個体を調べる必要がある

だが,翅の模様の雌雄差はもちろん,季節型もあるのではと思わされた

また,シタバガ亜科共通の特徴やCatocalaとの類似点,相違点も確認できた

 

今回は雌雄の比較図に力を入れてみた

今後,比較をしていくことで新しい発見があればいいなあ

そのためにも,同種の標本を十分集めることが重要ですね