ゴマケンモンM. alpium (Osbeck, 1778),キクビゴマケンモンM. kolthoffi Bryk, 1948

表面


ゴマケンモンとキクビゴマケンモン

どちらも夏場の低山で採れる普通種だ

しかし普通種とはいえ,その美しさから多くの蛾屋の人気を博している

今回はそんな二種を比較してみようと思う


ゴマケンモンとキクビゴマケンモンは,ヤガ科ケンモンヤガ亜科Moma属に属している

Moma属は日本に3種分布していて,他に対馬にツシマゴマケンモンが生息している

対馬以外で採れるMoma属は,すべてゴマケンモンかキクビゴマケンモンだろう

この2種の区別点は沢山ある

一番簡単なのは,前翅の外縁部が緑なのがゴマ,茶色い帯があるのがキクビという見分け方だ

 


さらに,頸板(patagia)の先端半分が黒色なのがゴマ,褐色なのがキクビという見分け方もある

この頸板がキクビの「クビ」を指しているのだろう

 

裏面

今度は裏面を見てみる

ゴマは裏が焦げ茶色で,キクビは黄土色をしている

脚部

ゴマもキクビも脚全体にある毛が縞模様になっていて,洒落ている

脚部の縞模様も翅裏面同様に,ゴマが黒っぽく,キクビは色が薄い特徴がある

翅刺

翅刺は両個体とも一本だった

どちらも♂だろか

小型ヤガの雌雄,今後の課題だ

今回は,脚にある棘「距(spur)」を詳しく撮影した

距は蛾の中脚,後脚の脛節についている棘状の突起物だ

特に大型のヤガになるとこれが発達し,指に刺さると痛みを感じるほど硬い

ゴマケンモン, 中脚

キクビゴマケンモン, 中脚

中脚脛節の跗節側の端に距が1対備わっているが,短く目立たない

ゴマケンモン, 後脚

キクビゴマケンモン, 後脚

一方で後脚は脛節の中央部と端部にそれぞれ1対ずつ,合計2対の距がある

中央部のを「内距(medial spur)」,端部のを「端距(terminal spur)」と呼ぶ

両者とも長く,よく目立つ

今回は観察していないが,この後脚脛節には毛が出し入れできる構造になっている種がいて,発香の器官と考えられている

今後,それも観察していきたい

参考文献

[1] 原色蛾類図鑑(上)
[2] 原色蛾類図鑑(下)