ムラサキシタバ Catocala fraxini jezoensis Matsumura, 1931

2016/9/9 蔵王高原

同個体

Catocala fraxini(原名亜種)はヨーロッパから極東アジアまで広く分布していて[1], 日本のはC. fraxini jezoensisという亜種だ.
日本では広く山間部で8月中旬から出始める, 晩夏~初秋の蛾のイメージがある.
シロシタバと同様に, 10月頃まではみられるようで, 山梨県の大菩薩から柳沢峠にかけて街灯めぐりをしてクロウスタビを狙っていたときに副産物で得たことがある.
その後も幾度となくクロウス狙いで柳沢峠には通ったが, 結局一度もクロウスは採れず, 夜道路に出歩く大量の鹿を拝んで終わった.

2016/9/9 蔵王高原

2016/9/9 蔵王高原

その後の出会いは, 山形に学会発表に行った帰りに, 持参した灯火総研で蔵王高原で灯火をしたときで, 夜10時頃にオスが3匹飛来した.
灯火の周りを激しく飛び回って, なかなか被写体になってくれないながらも, なんとか撮ったのが上の写真だ.

標本観察

同個体

2016/9/9 蔵王高原 別固体

大きいヤガは足が強靭で, 少なくとも中脚と後脚に鋭い棘が生えている.
昆虫針を指すとき, これが手に刺さると結構痛い.
前脚は白黒の縞模様で, オシャレだと思う.

同個体

この個体はオスだったので, 太い翅棘が1対あった.
採集中に生きた個体の雌雄を見分ける場合, これを見るよりも個人的には腹部の形をみるのが良いと思うが, これはまたの機会に.

メスは三角紙の中で容易に産卵するらしく, 採った時には是非飼育をしてみたい.
それまでに近所に食樹のポプラが生えている場所を探さないといけないが…

参考文献
[1] https://en.wikipedia.org/wiki/Catocala_fraxini