千葉ゴミムシ,糖蜜採集 2017

虫採り動画上げてます!!

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虫たちもすっかり鳴りを潜め,冬眠する季節。灯火採集をしても夏場なら鬱陶しい蛾でさえ,数えるほどしか集まらない。そんな寂しさを紛らわすような採集のシーズンが幕を開ける。

一つは「オサムシ・ゴミムシ掘り」

略して,オサ掘り,オサゴミ掘りとも言ったりする。オサムシ,ゴミムシは朽木や土の中に潜り集団で冬眠する習性をもつ。その越冬場所を掘り当てる採集だ。集団越冬を引き当てれば,一度に数十のオサゴミに出会うことができる。

そしてもう一つは「糖蜜採集」

日没直後,自作した糖蜜を木にスプレーすることでそれを吸いにやってくる蛾を狙う。自作糖蜜はビールや黒糖,焼酎などを混ぜて作る。正確には冬限定ではなく,夏場にもかなりの効果がある。しかし,秋から春の寒い時期に糖蜜採集を行うと,主にキリガと呼ばれる蛾のグループがよく採れる。キリガは蛾の中でも比較的人気の高いグループで,最近キリガだけを取り上げた図鑑なんかも刊行されている。

千葉県は,これら二つの採集をするのにとても良い環境を備えている。千葉県は元来広大な低湿地で,希少なゴミムシ類が数多く生息する。また,房総半島には照葉樹林の森があり,珍種サヌキキリガが生息している。

あえて言おう。千葉県は,いいぞ。


やってきたのは谷津と呼ばれる湿地。谷津は古来より田んぼとして利用されており,そこに湿地性ゴミムシも生息している。

谷津の風景

あぜ道を進むと,アオオサムシが飛び出してきた

アオオサムシ

谷津の風景

ゴミムシ掘りは経験が浅いので,手当たり次第掘る。環境はいいが,掘れども掘れどもムカデや小さいゴミムシなどしか出てこない。掘る場所がまずいのか?もっと奥へ行って,湿地を目指そう。そう思い進むと,ようやく湿地らしい植物が見えてきた。

谷津の植物,ガマ

谷津の植物

ここだ!と決めた場所を手当たり次第掘る訳も分からず掘る。とにかく掘る。すると,赤っぽいアリのような奇妙な虫が這い出てきた。

クボミアリモドキバチ Embolemus walkeri

とりあえず捕まえておいて,車に帰って同行者に聞くと,

「これ,アリモドキバチじゃね!?」

どうやら,採集例が少ないらしい。翌日,ツイッターで研究者の方にコンタクトをとり採集個体を郵送した。一方同行者は,的確にゴミムシを掘り当てていく。

良さそうな崖

越冬中のニホントカゲ

キボシアオゴミムシ?

この崖ではミイデラゴミムシも掘り出せたらしい。湿地性ゴミムシはミイデラと一緒に越冬することが多い。こんな感じのガケを狙っていけばいいのね。ちょっとコツを掴んだところで場所移動。

シイタケ

千葉県で採集してるとよくシイタケ生えない?次のポイントで,幸先よくミイデラを掘り当てる。これは,いけるぞ…!

ミイデラの群れ

すると,同行者が「いた!」と叫ぶ

オオキベリアオゴミムシ

オオキベリ!

他のゴミムシと比べて一回り大きく,青い鞘翅を縁取る黄色い帯が美しい。いい虫だ…アオゴミはいいね…集めたい…!結局この崖で全員1匹以上のオオキベリを採ることができた

冬の夕暮れ

冬の夕暮れ

気づけば時刻も夕暮れ。次なるターゲットの場所へ向かう…

日没前に到着。照葉樹林の森に,自作の糖蜜を仕掛けていく。気温が低いためか,なかなか飛来しない。めげずに糖蜜を仕掛けていくと,1時間ほどでようやく蛾の飛来が始まった。

ホシオビキリガ

ナワキリガ

モクメキリガ sp.

サヌキキリガは現れない…

諦めて帰ろうとしたとき,フラフラと蛾が飛んでいるのが見えた

せっかくだしと思い近づいてみると,まさかのサヌキキリガ!

網は出していなかったので,毒ビンに直接入れてゲット!

やったぜ!!!

サヌキキリガ

もう少し粘れば追加も得られるかもしれないと思い,歩いていると

いた!!!

サヌキキリガ

生体の写真もばっちり!実はサヌキはリベンジだったが無事達成!良い虫が採れたので,帰りがけに寿司を食う!よい採集でした!

おしまい