虫採り動画上げてます!!
普段の虫採りそのまんまの様子をお届け中!
夏も本番
虫たちも出揃ってくるそんな7月の終わり。高標高地でも気温が上がってきたので,以前から目をつけていた野麦峠に灯火採集に行ってみた。
野麦峠
岐阜県高山市と長野県松本市の県境にある標高1672mの峠道。標高が高いため,秋の終わりから春の終わりまでの半年間は通行止めとなる。北に乗鞍岳を望み,比較的展望が良い。アズサキリガの採集記録がある。
東京からはるばるやってきたものの正直天気は悪く,天気予報は灯火できるか分からないくらいだった。現地に到着してみると幸い濃い霧が出ている程度で,灯火を設営することができた。本当は多少天気が悪いほうが灯火の成果が上がるのだそうだが,果たして…
小雨が降りしきる中,蛾は幕に続々と飛来してきた。
この手の蛾は似ているものが多く,採集中にはほとんど区別がつかない。ウスチャオビキノメイガは珍しいらしいが,あまり自信がない…。しばらくすると,飛来する中に目を引く蛾が混じり始めた。
三国峠でも出会ったこの種は,見た目が派手なので飛来すると嬉しい。
後翅が黄色の美麗ギンウワバ。この晩はキシタギンウワバの飛来が多く,同行者と合わせて20匹以上は採集した。美麗種がたくさん来るとやはり嬉しい。アルプスギンは来なかった。
ナマリと名の付く蛾は数多いが,どれも濃淡の渋い燻し銀な蛾ばかりだ。
両者とも外見が酷似していて,交尾器を見なきゃいけないやつ。標高を考えればタカネショウブヨトウの可能性も十分有り得る。というか,どうやってこの二種が別種であることに気がついたのだろう。
夜も10時を廻ったあたりだったか。車の中で休んでいると,大きな虫の影が幕の前を飛んでいるのが見えた。慌てて雨の降る車外へ飛び出し,その蛾に毒ビンをかぶせる。
ジョウザンヒトリ!!!ヒトリガは採ったことがあったが,こちらは初採集!この晩で3匹くらいは採れた.
二化目の個体は初めて見た
頭が橙色だとキベリネズミ,黒だとキマエクロ。最終的に,幕はこの蛾で覆い尽くされ採集どころではなくなった。これだからホソバガは嫌いなんだ。
ブナ食いの常連
止まり方が特徴的な蛾。ツマキリってなんだろう?
色彩変異が大きい
ヨツボシホソバ♀と酷似する
地味系エダシャクほんとむり
このあたりは交尾器見ないとなんとも
ブナ帯の蛾.
クロバナヒキオコシ食いの美麗ケンモンヤガ。クロバナヒキオコシといえばオオゴマシジミの食草だが,確かに野麦峠はかつてオオゴマシジミの産地であった。食草は健在なのだろう。
ウコン色をしたシャクガ。食草はウコンではなくクスノキ科。
山地性
ギンガってヨトウガ亜科だったんだ
深夜になって雨が強くなってきたので,灯火は撤退。翌日雨が止むのを祈って眠りについた。
翌朝
岐阜県方面のほうが天気が良いらしいので,日和田高原へ向かった。友人はパキタを採っていたが,僕はといえばオオイチモンジやコヒョウモンモドキを探して歩きまわって虚無を得るばかりだった。
御嶽山や浅間山周辺の笹で大量に見ることができる。毒ビンに5分も入れておくと赤色がくすんでしまうので,標本にするときは注意が必要。
春に灯火して成果を上げた白骨温泉へ行ってみた。
エグリバ系は灰色に近い色が多いが,本種は褐色が差して美しい
白骨温泉もオオゴマシジミの産地である.
ウスイロカバスジヤガ,カバスジヤガ,オオカバスジヤガと見分けが難しいのが3種もいる。外横線が揺らがず明瞭なのでカバスジかな。奥にいるのはハガタエグリシャチホコ。
良いモンヤガ
ちょっとレア
あんまり自信ない
本州では中部上信山地の記録しかないレア種
セダカモクメは良い蛾
キシタバが来るとテンションが上がる.この一匹だけだったが…
朝残り蛾を探していると,見慣れぬアオケンモンが…
「これ,ニッコウじゃない方じゃ…」
確か,みんな蛾には珍しいと書かれていた。お目にかかれるとは思っていなかったので,嬉しかった。食草はニッコウと同じくシソ科だが,こちらはミカエリソウ,テンニンソウ。和歌山とかでは多産するらしい。そういえば2018年の福島でも昼間に飛んでるスギタニアオケンモンを採集した。狙ってないのに二箇所で採れたら,珍しくないのではと思ってしまうが果たして…?
標高1000m以上の蛾.よきよき。
昼間の採集はダメダメだったけど(本当は平湯とか御嶽山とか行った),灯火採集でなんとか挽回した採集でした.
おわり