虫採り動画上げてます!!
普段の虫採りそのまんまの様子をお届け中!
初夏
多くの虫が一斉に出現するこの時期を,黙って見ている虫屋はいない。就活も終わり,久しぶりに採集へ行きたいと思っていた。週末の天気も悪くない。
やりますか,灯火採集。
サークルに呼びかけると,ミヤマクワガタが欲しい後輩が一人ついてくることになった。ミヤマが採れて,蛾も面白い場所…。去年行った浅間山の麓のあそこなら,面白いものがいるな。そんな感じで,行き先はすぐに決まった。
当日。
サークルの後輩と吉祥寺で待ち合わせ。レンタカー屋が交通量の多い片側一車線の道にあって,車の出入りに苦労した。ここから高速で数時間。軽井沢を少し過ぎたあたりで降りて,淺敷林道に向かう。
夕方に到着。実は,灯火採集だけでなく夕方の林道でも狙いがあった。
ヒメキシタヒトリ
夕方に活発に飛翔するこの蛾は,限られた環境の良い高原にしか生息しない。調べたところ,ここに採集記録があったので狙ってみた。しかし,その姿はまったくない。減っているとの噂もあったが,結局採れず。しかし,いい場所には他のいい虫もいるもので,高原に生息するシロモンクロノメイガが一匹採れた。
そうこうするうちに,日が暮れる。明るいうちにあらかた目星をつけておいた灯火の場所に車を止める。車のエンジンを吹かしっぱなしにして,灯火総研をシガーソケットにつなぐ。
点灯!!!
気温は思ったより低く,蛾の集まりは悪い。
突然,大きな虫が幕に飛来する。「何だ!?蛾か!?」となるが,正体はこいつ。
正直,大したものが来ないと落胆していた。そんな中,見慣れぬ白い蛾が足元を歩いているのが見えた。
モンキシロシャチホコ!!!ちょっと擦れてるけど,高原性のいい蛾!!ここでちょっとテンションが上ったので,灯火を続行する。
オビカギバはモンキシロシャチホコと同様にカバノキ科食いのカギバガだ。カバノキ食いの蛾が多いと,高標高地に来たなあという気分になれる。
タカオケンモンかと思っていたが,標準図鑑を見ると「緑色を帯びることはない」との記述が。ニッコウケンモンあたりが妥当か…?
いい虫が飛来し始めている。あたりを隈なく探していると,灯火総研を支える脚立に美しい蛾が止まっているのが目に入る。緑と黒に彩られたその蛾は…ミヤマゴマキリガ!!
普通,ミヤマゴマキリガはもっと緑の割合が多く,緑地に黒のごま模様が散りばめられているくらいの見た目をしている。しかし,この場所で採れるミヤマゴマキリガはむしろ黒の占める割合が広い。他の地域でもこのような斑紋になる個体もいるようだが少数で,この地域限定カラーということになる。食草はカラマツで,針葉樹食いのキリガはマツキリガといいカッコいいものが多い。これが居るとは知らずに来たが,いい場所にはいい蛾がいるんだなあとつくづく思った。
これも高原に多いドウダンツツジを食そうとする高原性の蛾だ。ドウダンツツジは都市部に植栽されているので,低地での分布を広げているらしいが,ここは本来の生息地だろう。
大正義Biston属
このあたりで飛来は落ち着いてきたので,後輩のためにミヤマクワガタ探しに近くの街灯へ。8月に来たときはミヤマクワガタが居たので大丈夫と思ったが,残念ながら死体のみ。自販機周りも隅々まで探したがコクワ成虫を拾っただけで,大したものは採れなかった。もっと標高低いところのほうが良かったかな?
僕の方もヒメキシタヒトリも採れなかったし,実を言うとイブキスズメの生息地なので灯火に飛来するのではと密かに目論んでいたが来なかった。そんな感じで,久しぶりの灯火採集はいくつかの課題を残して終わった。