虫採り動画上げてます!!
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ゴールデンウィーク
当時は既に単位を取り終え、好きな時に研究室へ行けばよい生活を送っていた。当然、採集へ行こうと思えばいつでも行けた。しかし、学生なので割り勘のために人を誘わなくては、なかなか採集へ行けない。結局、同行者が集まりやすいゴールデンウィークに遠征することになった。
行先は、長野県。何日か車中泊をし、いろいろな場所を回る計画だ。今回は同行者がライトトラップを持ってきてくれるので、僕は春の蛾を狙うことにした。
やってきたよ、南アルプス。この日は風が強く、お望みのカミキリは採れなかったそうだ。僕はカミキリに興味がないので、夜の天気予報や灯火場所を調べて時間をつぶした。
続いて、同行者のルリクワ採集に着いて行った。初心者ながら、あてずっぽうに朽ち木を見ていく。ルリクワの産卵痕はたくさん見つかるが、いつまでたっても成虫を引き当てることはできない。
一方、同行者は30分ほどで成虫を割り出す。これが経験の差か…
一息ついて林内を見渡すと、なにやら図鑑で見覚えのある植物が。これは…トリカブト…?ニリンソウに間違われて食中毒を起こすと言うが、なるほど分からなくもない。そのほかにも猿の頭骨を見つけたり、ルリクワそっちのけで林内を楽しんでいた。
ルリクワ採集を終え山を下りる途中、新鮮な土場を発見する。この日は気温も高く、クリストフコトラカミキリのペアが訪れていた。カミキリは専門外だが、クリストフはとても良い。どうしてカミキリの♀はこんなに大きくてカッコいいのだろう、好き。
カミキリの時間も過ぎ、いよいよ夜の灯火場所へ向かう。着いたのは奥飛騨。晩御飯に近くの飲食店で、味噌カツを注文。味噌が信州味噌で、とても甘くおいしかった。
腹ごしらえの後、灯火を設営してしばらく待つ。雨に降られるも、多くの蛾が飛来してくれた。当時はあまり自前で灯火採集しなかったので、初見だったアオバシャチホコがうれしかった。
翌日
カバシャク狙いで島々谷へ行く。しかし、まったく居る気配がない。林道を置くまで進んだ先で、代わりにミヤカラ春型を採集。
風も強く、これ以上何かとれる気がしない。嫌になって引き返すと、腰ほどの高さのミズナラの葉が不自然に垂れ下がっているのが見えた。そういえばオオミドリシジミの幼虫は、食草の葉脈を噛み切って葉が固くなるのを遅らせると聞いたことがある。これは間違いなく、幼虫がいるサイン。
注意深くその木を見ていくと、いた。
あたりを見回すと似たような巣が数個あり、合計で3個体の幼虫を採集したが、すべて蜂に寄生されいた。結局、成虫は得られなかった。
その後、なぜかシロアミガサタケを見つけて日中は終了。
最終日の夜
今度は白骨で灯火採集をすることに。白骨は良い蛾の生息地で、夏にはヤンコウスキーキリガ、秋にはクロウスタビガが採れる。春でも良い蛾が採れるに違いない。
蛾が集まるのを待つため、発電機を置いて辺りの街灯を見回る。すると、早速良い蛾を発見。マイコトラガ!!とても上品な、春の蛾だ。
ホクホク気分で灯火場所に戻ると、ぼちぼち蛾が集まり始めていた。
初採集の春の蛾を嬉々として毒瓶に放り込んでいく。すると、崖の下からトガリバが弱々しく飛んでくるのが見えた。
これは…
キボシミスジトガリバ!!!
エロすぎる…!
中央山岳地帯と北海道に生息する蛾で、本州でも比較的採集例がある。が、やはり高標高地に限定されること、春のこの時期しか出会えないことからとても人気が高い。この時は種名を知らなかったが、圧倒的な美しさから思わず写真を撮っていた。
キボシミスジの飛来に興奮冷めやらぬ中、真打が登場する。
シロモンアカガネヨトウ!!!
上質な墨か漆塗りを思わせるその黒色に、白い紋がよく映える。その美しさは、筆舌に尽くしがたい。キボシミスジと同じく中部山岳地帯の春蛾で、こちらは北海道には生息していない(その代わり、九州に生息する)。このドエロイ蛾に簡単に出会えるのは、関東~中部に住む人の特権だ。
寒さであまり蛾が動かないため、一人でやべぇやべぇ言いながらひたすら写真を撮りまくった。同行者は蛾に全く興味を示さないので、一人夜遅くまでせわしなく活動していた。
ライトトラップが好きな最大の理由は、この絶妙な忙しさと静寂のバランスだと思う。今回は下調べなしで灯火場所を選んだが、幸運にも良い蛾に出会うことができた。今後もこのポイントには通っていきたい。
翌日
シロアミガサタケは美味しく頂きました。