今年はしばらく研修で九州に滞在していた
この機会を逃してはいけない。今回のターゲットは…
ウスイロキシタバ
ウスイロキシタバは静岡以西から台湾まで生息する,いわゆる「西の虫」だ。しかも,西日本の環境の良い照葉樹林にのみ生息する。関東では出会えない。今回は,同じく九州に住んでいる友人も同行して二人で灯火採集することにした。
九州は大分,耶馬渓。そこは凝灰岩が川で深く侵食されてできた渓谷で,山にはこのようにむき出しの岩が点々と望む。変わった顔つきの山だな,と思った。 さて,灯火採集まで少し時間がある。この近くにギョウトクテントウの記録があるらしいので,ダメ元で辺りをスィーピングしてみる。しかし,草地のスィーピングでは特に何も採れず。早々に飽きて雑木林でゼフィルス類を探す。ミズイロオナガを初め,雑木林らしい虫が見つかった。 が,まだ九州感はない。
さて,そろそろ日も暮れて,灯火の準備にかかる。灯火するのは,渓谷の照葉樹林。林の中はなかなか灯火に適した場所が少ない。更に,予想とは裏腹に環境の良い照葉樹林は狭い。加えて,多くの場所が特別保護地区に指定されている。探し回って,ようやく灯火に適した場所を見つけた。
点灯!!!
点灯から一時間。ちらほら虫が集まってくる。初夏の灯火採集は,飛来数はそこまで多くない。本当にウスイロキシタバは来るのだろうか?。そんな不安にかられる。カトカラには,日没直後に飛来する種類と,日没後時間が経ってから飛来する種類がいる。例えば,ゴマシオキシタバやクロシオキシタバは日没直後,シロシタバやムラサキシタバ,ミヤマキシタバは深夜に飛来する。ウスイロキシタバはどちらだろう…もし,日没直後型だったら,もう来ても良い頃だ。 気持ちが急いて,幕を何度も確認する が,見当たらない ちょっと休憩する その瞬間,「いた!!!!!」と友人の声 まじか!!!
ウスイロキシタバは,正直地味なカトカラだと思っていた。後翅の黄色いラインが薄く,くすんだ色だからだ。しかし,実物を見ると印象が一変した。前翅のコントラストが,むしろ派手なくらい美しい。 羨ましい…ずるいぞ… 絶対採って帰ってやる… 徹底的に見回りだ!! … 30分ほどすると,ようやく二個体目が現れた
やった!!!!! 採ったぞ!!!!!! カトカラ戦闘力(自己採集カトカラ種数) 22→23パンパカ✧\\ ٩( ‘ω’ )و //✧パーン!! その後,15分毎に1匹ずつ飛来する時間が深夜まで続いた。個体数は多いみたいだ。さて,目的の蛾も採れたことだし,引き続き灯火の見回りをしていく。
大人気タッタカモクメシャチホコ 6匹くらい飛来したかな?
燻し銀なシャクガ 南方の照葉樹林の虫
地味にお初 ホタルガ的存在かと思ってたら,こんな山奥に居るんですね
最近まで熊本でしか見つかっていなかったらしい 今では,九州各地で点々と見つかっている
今回は研修先で余り数を採集する気になれなかった。そのため,大部分が撮影にとどまっている。タッタカモクメシャチホコ,シロシタホタルガ,ヒゴキンウワバなど,良い蛾がたくさん撮れた。いい環境で灯火をやると,いい虫が来る。経験則だが,灯火採集で集まる虫は環境指標として有用な気がする。次はヤクシマヒメキシタバ狙いに九州行きたいなあ。