虫採り動画上げてます!!
普段の虫採りそのまんまの様子をお届け中!
Catocala属
通称,カトカラ。
このグループをなんとしてもコンプリートしようと今宵も採集へ赴く。
今回のターゲットは…
クロシオキシタバ
クロシオというのは黒潮,日本海流のことだ。温暖な沿岸に生えるウバメガシをホストにするのだが,このウバメガシは黒潮に沿って分布する。必然的にこの蛾も黒潮に沿って分布しているため,その名がついた。ウバメガシは確かに関東沿岸や街路樹としても生えているのだが,このクロシオキシタバは伊豆半島以西にしか生息していない。そのため,東京からはるばる伊豆半島の先端まで車でやってきたのである。
…
ところで,灯火採集で最も大事なことは,明るいうちに到着して場所を見極めることだと思う。日没前には到着し,ウバメガシの優占する海岸林を下見する。植生分布的に言うと,トベラ-ウバメガシ群集と呼ばれる。
流石に断崖絶壁には入っていけないので,引き返して入りやすい林を探す。どうやら遊歩道沿いがウバメガシの林になっていて,ここに糖蜜を仕掛けるのが良さそうだ。とにかく,明るいうちの下見が重要なのだ (大事なことなので二度ry)
程なくして,日が暮れる。林に入って糖蜜を仕掛け,林の入り口でライトトラップを仕掛ける。そして,ライトトラップを設営し終わった頃に仕掛けた糖蜜を見に戻る。しかし,全くもって蛾が集まっていない。蛾の代わりにサツマゴキブリが糖蜜を美味しそうに舐めている。
おかしい
2週間前に同じ場所で糖蜜に沢山クロシオキシタバがやってきたと噂を聞いていたのに。1匹も来ないだと…?
クロシオチャレンジ失敗…?
唖然としながらも,糖蜜を追加して回る
すると,頭上の木の枝に蛾が止まっている気配がした
光で照らしてみると…
いるじゃん!!!
良かった…
クロシオチャレンジ成功だよ…
カトカラ戦闘力(自己採集カトカラ種数) 21→22 パンパカ✧\\ ٩( ‘ω’ )و //✧パーン!!
そろそろ,灯火の方はどうなっているかな?
…
来てる!!!
でも,車でウバメガシまで近づけなかったから,沢山は来ないだろうなー。灯火にきた他の蛾でも観察しましょうか。
さて,そろそろダメ元でまた糖蜜を見て回りますか。先程仕掛けた糖蜜は,すべて木の幹のようなザラザラしたところだった。もしかすると,糖蜜が揮発せず染み込んで誘引力が落ちたのかもしれない。そう思って,今度は常緑樹の葉っぱなど,テカテカした所に糖蜜を吹き付けてみた。すると,ようやく一頭糖蜜を吸いにクロシオキシタバが現れた。
ん~~
前翅に白い帯が入るのがなんとも美しいよね。鮮度からすると,この個体は比較的羽化から時間が経っていないように見える。もしかして,精のうの発達具合によって糖蜜に来るかどうかが変わるとか?さもありなん。とすると,糖蜜は諦めてルッキングするしかないな。
ルッキングに集中し始めれば,そこそこの頻度でカトカラが飛んでいるのが見え始めた。中には,交尾しながら飛ぶ個体もいるようだ。それを網でキャッチしていく。こんなカトカラ採集,初めてだ…。
時刻は23時
ふと,木の上に気配を感じて照らしてみると…
枝の先端に止まってクロシオキシタバが交尾している!!
しかも,4ペアくらい居るぞ!!
カトカラの交尾をこんなに見たのは初めてだ
枝先で♀がコーリングして,それに♂がやってきたのだろう。蛾は種によって交尾の時間帯が決まっているらしいが,クロシオキシタバは23時ごろなのだろう。普段とは違う採集法をすれば,普段とは違った知見を得られるのだなぁ。なかなか採れないカトカラの♀を見られるのは,ルッキングの利点かもしれない。ただし,網に入れるので背中はハゲやすい。
さて,クロシオは十分採れた
今度は灯火の様子を見に行こう
暖地性の蛾らしい
南方系のまあまあ良い蛾
幼虫は集団で網巣を作る害虫
オオシマカラスヨトウorナンカイカラスヨトウ
腹の側面を見なければ判別できないが,どちらも普通種
やはり南方系の虫が多いな?まさか,春の沖縄でしこたま見るアカウラカギバが居るとは思わなかった。フトメイガが多かったが,南方系のグループなのだろう。ヤママユ,キシタバ,カブクワ,シロスジカミキリなど雑木林の虫も多いようだ。
ところで,ヤママユを見ると夏ももう終わりか…と寂しい気分になるのは僕だけだろうか。うかうかしてたら,こんな季節である。もうすぐ秋で虫の季節も終わりだ。カトカラ制覇の旅は,来年に持ち越しだな。
ミヤマキシタバ?エゾベニシタバ?うん,来年ね.来年。