アオモンギンセダカモクメ観察 2018

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アオモンギンセダカモクメ

一生のうちに一度は見ておきたい蛾だ。

ヤガ科セダカモクメ亜科Cucullia属に属するこの蛾は,豊かな草原にのみ生息する。草原は開発の影響を特に受けやすい。平らな土地は,ことごとく畑か宅地にされてしまう。現在残っている環境の良い草原は,開発の手の届きにくい場所か,景勝地,野焼きを続けている特殊な地域に限られる。かつては全国にいくつかあったこの蛾の生息地も,既に殆どなくなってしまった。

そんな蛾を探して,2018年9月に秋田と山口へ遠征した。


2018年9月18日 秋田県某所

東京から雄物川河口まで8時間。ドライバー2人交代しながら,ようやくポイントに到着。既に日没は過ぎた。急いで灯火を設営する。

海辺なので風が強く,なかなか幕に蛾が集まらない。待っている間に,辺りを捜索してアオモンギンの食草カワラヨモギを探す。

ヨモギ類

草の茂みの縁に,ヨモギ類が花を咲かせているのが散見された。カワラヨモギと他のヨモギの区別がつかないが,おそらくここで間違いないだろう。灯火に戻って蛾を確認する。

モンオビヒメヨトウ

ニセトガリヨトウ

アヤナミノメイガ

アカバキヨトウ

ヨモギオオホソハマキ

ウスバミスジエダシャク

マツノシンマダラメイガ

数は少ないが,自分には余り馴染みのなかった蛾が多く飛来した。ちなみにこの場所,ハマヤガも生息している。アオモンギンとハマヤガを逃さないよう.隈なく探す。しかし,風が強く蛾の飛来は増えない。

仕方ないので,ヨモギをルッキングして幼虫が居ないか探してみる。

すると…

Cucullia属の幼虫?

こ,これは…

Cucullia属の幼虫では!!??

めちゃくちゃテンションが上った。

あっさりと見つけたので,追加を狙う。

ワラジムシ

ナメクジ

カメムシ

しかし,そう安々と見つけられるものでもないようで,追加は得られなかった。一眠りして,灯火を見る。

ゴマシオキシタバ

ユミモンクチバ

モンヤガ類?

ナシケンモン

クスサン

サカハチヒメシャク

分布は広いが散発的にしか採れていないレア蛾。北限記録としてこの場所,秋田県秋田市がある。過去に誰か同じ場所で採ったのだろうか?。

ヒトリガ

うーん,アオモンギンチャレンジ,失敗!

翌朝,明るくなったので辺りを改めて観察

イラガの幼虫

ヨモギ類

ヨモギ類の花

灯火場所

海岸

ヨモギ類が生えるあぜ道

うーん…いけると思ったんだけどなあ。成虫は手に入らなかったけど,幼虫を育てて生息を確かめるか。幸い,アオモンギンセダカモクメはヨモギで育てられる,たぶん。そう思って,渋々この場所をあとにした。

後日

Cuculliaの幼虫

Cuculliaの幼虫

結論から言うと,飼育は失敗した。現地から持って帰ったヨモギ類はそのまま食べてくれたが,家の近くのヨモギを食べてくれなかった。というわけで,アオモンギンチャレンジ完全失敗に終わった秋田遠征でした。


2018年9月23日 山口県某所

秋田遠征から一週間後。秋田の他にもアオモンギンの生息地はある。今回は新幹線を使い,山口県へ遠征した。レンタカーを借りて,日没直前の草原へ向かう。事前情報によると,ツリガネニンジンの花に多くの蛾が吸蜜に集まるらしい。ここは灯火採集ができない場所なので,ランタンを持ってルッキング観察をした。日が沈むと,どこからともなく蛾が飛び回り始める。

スレたセダカモクメ

早速Cucullia属!幸先がいい!

フタオビキヨトウ

キタバコガ

ツリガネニンジンに吸蜜に訪れた蛾

キタバコガ

ツリガネニンジンとツトガ類(Crambus sp.?)

歩道を歩いているだけにもかかわらず,多くの蛾を観察できる。それほどまでに,良質な草原なのだろう。しかし,目的のあの蛾は現れない。

日が暮れてあっという間に1時間半が経過した。

これ以上進んでも意味はないだろう。

帰り道で出会えなかったら終わりだ。

そう思って引き返した直後…

眼の前の草むらから白っぽい蛾が現れた。

直感した。

アオモンギンだ。

地面に舞い降りたそれを目に焼き付ける。

アオモンギンセダカモクメ

アオモンギンセダカモクメだ!!!!!!!!!!

蛾を見つけて大興奮したのは久しぶりだ…。次はいつ会えるかな…。新幹線代は高かったけど,それに見合った物を見れて大満足な遠征でした。翌日,萩の方まで来るまで出て,安くて美味しい海鮮を食べて帰りました。

アワビ(800円)

サザエ(1000円)

ノドグロ(800円)