前回の続き
19マイルからタナラタに戻り、晩御飯を食べ、いつもの場所で灯火採集を始める。もはやルーティーンが出来上がっている。灯火場所に向かう山道もすっかり慣れたもので、道路の穴の位置まで覚えつつあった。
点灯!!!
灯火にくる虫は、毎日少しずつ入れ替わっていた。いつものごとく蛾が大半だが、この日は甲虫の類が目立った。
シデムシが初飛来。ヨツボシモンシデムシの近似種 Nicrophorus属だろうか。シデムシは日本の灯火採集でもよく飛来するが、海外でも同じなんですね。4つのオレンジ色の紋がかわいい。
クワガタも飛来。体長は30mm程度で、鞘翅に細かく入った筋が目立つ。これらの特徴や角の形からいって、ネブトクワガタの仲間だろうか?調べた感じ、マレーの小さなクワガタは難しいらしい。図鑑も知識もあまりないので、正確な同定は有識者に譲りたい。が、やはり海外でクワガタを採集できるとうれしい。
クワガタは同行者に差し上げて、蛾屋は蛾屋らしく蛾に専念する。
さて、灯火を初めて2時間ほどしただろうか。飛来も落ち着いた頃、山の頂上側から人が歩いてきた。見ると若いヨーロッパ人で、トレッキングシューズにレインコートという装いだった。しかし、こんな真夜中になんで人が…?
英語が通じたので話を聞くと、どうやら迷ったらしい。地図を見せてきて
「この道を下ると、どのくらいで帰れる?」
と聞いてきた。いやいや、この時間から下る気かよ。少なくとも2時間はかかるだろう。分かれ道もあるので、迷ったら死にかねない。そう思って、灯火採集終わるまで待たせて、車で送ることにした。彼は灯火採集をまじまじと見て、時折質問してきた。
蛾の飛来も収まったところで幕を片付け、いつもより早めの撤収。彼を無事にタナラタまで送り届けて、記念撮影。
さて、虫屋的にはまだまだ活動時間なので、タナラタの街灯をルッキング採集することにした。前回のキャメロンで成果を上げた街灯を見て回る。9月にコーカサスやヤママユが採れた街灯を見たが、今は12月。季節が違うからだろうか、思ったように虫が採れない。
ようやくホテルの街灯で、アスタコイデスノコギリクワガタをゲット!でかい!!東南アジアに生息する大型のノコギリクワガタで、マレー産は特に大型になるらしい。日本にも出回っている外国産クワガタのようだが、生息地で会えると格別だ。
さて、楽しかったマレーシア遠征も次回で最終日。次は低地の鍾乳洞で洞窟性の昆虫たちを探します。
つづく
キャメロンハイランド 昆虫採集2018 その8